クローゼットを開けたとき、その日の服をどう選んでいるでしょうか。
気分や予定、行く場所に合わせて選ぶ中で、私は毎日の小さな選択をできるだけシンプルにしておきたいほうです。
台湾から日本に住まいを移して15年。
デザイナーとビデオグラファーをしている私は、環境の変化とともに、服の選び方も少しずつ変わってきました。
そして服について考えていると、ふと、デザインと似ているところがあるなと思うことがあります。
今回は、そんな私の服との付き合い方について書いてみようと思います。
服だけでなく、全体を見る
台湾にいた頃は、暑くて湿度も高いため、「動きやすい」「通気性がいい」といった機能を優先していました。
日本に来てからは、気候や季節だけでなく、
「今日はどこで何をするか」という「場」を意識するようになった気がします。
日本と台湾を行き来する中で、街の色や情報量の違いを改めて感じます。
そんな環境の違いが、色に対する自分の感覚にも影響しているのかもしれません。

10月の台湾ですが、樹々のグリーンもどこか暖かく、太陽の光もやわらかく感じます。住んでいた頃は、当たり前すぎて意識して見ることのなかった景色です。

台湾には、大胆で遊び心のある商業装飾がたくさんあります。
もうひとつ、服を選ぶときに大切にしているのが、
実際に自分が着たときのバランスです。
どのくらいの丈なら体型に合うのか。
どんな素材なら膨らみすぎないのか。
どんな色なら顔まわりが暗く見えないのか。
手持ちの服を測り、自分に合う丈の基準を決めることもあります。
色や空気、その日の場所との調和も含めて考える。
そうして選んだ服は、結果的に長く着ていることが多い気がします。
「3パターン」という仕組み
服を増やしすぎないために、買うときにひとつだけ決めていることがあります。
「今持っている服と、最低3パターン組めるか」
気になるアイテムを見つけたら、手持ちの服との組み合わせを頭の中で考えてみます。
3パターンくらい思い浮かべば、購入候補。
たとえば、今日着ているシャツワンピースもそのひとつです。ワンピースとして一枚で着るだけでなく、
Tシャツの上からアウターとして羽織ることもできる。
手持ちの服と組み合わせやすく、季節をまたいで着られるところも、選んだ理由のひとつです。

一着ずつ増やすというより、既存のメンバーに新しい選手を加えるような感覚です。
できれば、二つの季節をまたいで使える選手ならさらに優秀。
こうして組み合わせを考えていくと、自分なりのトーン&マナーも自然と定まってきます。
毎朝の服選びも楽になり、小さな判断を減らして、
その分の余白を残しておけます。
服選びと、デザインの思考
こうして考えると、服を選ぶこととデザインを考えることには、少し似ているところがあります。
デザインも、ひとつのものだけを見るのではなく、
それが置かれる環境や文脈との関係を考えます。
何を残し、何をそぎ落とすか。
要素をどう組み合わせ、全体のバランスをつくるか。
服選びも同じで、単体の魅力だけでなく、
自分の身体や手持ちの服、その日の場所との関係まで含めて考えながら、全体を整えていきます。
もちろん、毎日の服選びでそこまで意識しているわけではありません。
でも、仕事で身についた感覚が日常の中にもあったり、
日常の小さな工夫が仕事につながったり。
そんなふうに思考を行き来させることも、
私にとってちょっとした楽しみです。